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腰が痛い患者さんは多いですが、診断名はその医師によって異なる場合が多いです。画像を撮影し、ヘルニアや狭窄などが見つかった場合は、共通でその診断名がつきますが、画像上問題が認められない場合は、さまざまな診断名がつきます。

「変形性腰椎症」「椎間関節症」「腰椎椎間板症」などどれも似たような名前ですが、その幅はかなり広いです。

理学療法士として、構造的原因もしくは化学的刺激による二次的なものは、病歴、検査で診断できる可能性が高いですが、医師に報告してさらに検査してもらう必要のある腰痛についても考慮する必要があります。

そこで今回は、腰痛の鑑別について起こりうる疾患別に述べます。

変性疾患

理学療法士が遭遇する腰痛で最も多いのが、変性疾患による腰痛ではないでしょうか。先程述べたような、脊柱管狭窄症や椎間板変性症などはその代表例で。その他にも靱帯損傷なども含まれます。変性疾患は、その構造に対する刺激量の増加によって起こります。そのため、この変性疾患は理学療法士の腕の見せ所でもあります。

もちろん、変性疾患でもかなり進行している場合は、改善が難しい場合もあります。しかし、その多くは理学療法にて改善できます。

感染症

感染症でも腰痛が起こります。わかりやすいのは、椎間板炎や椎骨骨髄炎などです。椎間板炎は小児に多く、バクテリア感染が原因で起こります。発熱や過敏性、立位や歩行を避けるなどの特徴があります。また、臀部や腹部、股関節にも痛みを訴えます。

椎骨骨髄炎は高齢者、免疫が低下している人、糖尿病疾患の人などに多く、黄色ブドウ球菌をはじめとするさまざまな最近による血行性の感染症です。また手術など外科的処置の後にも起こりやすいです。

この感染症は30歳代に最も好発し、症状は徐々に発症する限局性の腰痛が主になります。その症状は絶え間なく進行し、夜間に悪化します。その他にも発熱や倦怠感、腹部の不定愁訴などの訴えがあります。そして、この症状は臥位や安静、抗炎症薬では軽減しません

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その他にも急性化膿性感染症や、硬膜外膿瘍、仙腸関節炎なども感染が原因で起こります。こうしてみると、感染による腰痛はさまざまな原因で起こることがわかります。

循環障害

循環障害での腰痛は、メディアでよく取り上げられる「腹部大動脈瘤」がその代表例です。腹部大動脈瘤はL3椎体レベルで2つに分かれますが、その分岐部にできやすいとされています。50歳以上でできやすく無症候性ですが、脈管が拡大した場合、腰椎に刺激を加えるため、鈍くしつこい、もしくは強い腰痛が出現することがあります。

典型的には、高血圧や高コレステロール、糖尿病などを患っており、喫煙歴がある人が多いです。また、感染症、梅毒、動脈炎、マルファン症候群、先天異常などもその原因となります。

さらに、この腰痛は椎間板ヘルニアによる腰痛と類似しているため注意が必要です。

その他にも、「レリシ症候群」も腰痛が出現する循環器疾患です。

癌では良性腫瘍、類骨骨腫、悪性腫瘍、多発性骨髄腫で腰痛が生じます。癌での腰痛は、その腫瘍が物理的に脊髄などの構造物を圧迫することによって生じます。類骨骨腫は20~30代、悪性腫瘍、多発性骨髄腫は50歳以上に好発し、単純X線で見つかることもしばしばです。

炎症性疾患

炎症性疾患では強直性脊椎炎がその代表例です。通常40歳以下に好発し、多くが腰痛、殿部痛を訴えます。また、朝の痛みやこわばりが目立ち、活動によってその症状は軽減することが多いです。仙腸関節の機能障害がほとんどの人に認められ、徐々に脊柱の可動性が制限されていきます。

多くは、血液検査にて血沈、HLA-B27抗体が陽性となります。

以上のように、腰痛といっても考えられる原因はさまざまです。変性疾患は理学療法士の対象ですが、その他は理学療法にてその原因を改善することはできません。医療の専門家として、まずは目の前の患者さんが理学療法の適応か否かの見極めを適切に行う大切です。