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理学療法の臨床において、座っていると肩が痛くなると訴える患者さんは多いです。このような場合、痛みを発している原因組織から鑑別することが、重要になります。

今回は、座位保持時における肩の痛みに関して書きます。

頚椎由来の症状か肩由来の症状か

患者さんが「肩の痛み」といわれた場合、まず、「頚椎に由来した症状」と「肩関節に由来した症状」の鑑別が大切になります。内科的疾患からの影響の可能性もありますが、運動器疾患では頚椎、肩関節に由来している症状の場合は大半です。

頚椎に由来した症状の場合、ほとんどが頚椎の動きにより症状が変化します。運動器疾患の特徴は「関係する関節運動を行うことにより、症状に変化が認められる」ことにあります。もし、関節運動により症状に変化が認められない場合は、他の関節からの症状、もしくは内科的疾患から症状を疑います。

他の特徴として、座位保持で悪化し、臥位になることにより症状が楽になります。頚椎や腰椎には、座位でも重力の影響が及んでいるため、臥位になって重力の影響を取り除くと症状が軽減することがほとんどです。

一方、肩関節に由来した症状の場合、肩関節を動かすことにより症状が変化します。このケースでは頚椎をいくら動かしても症状に変化が認められません。

単純なことですが、まずはこのように「どの関節を動かしたときに症状が変化するか」を確認することが大切になります。

頚椎に由来した肩の痛み

頚椎に由来した肩の痛みの場合、椎間関節や椎間板、筋などの影響が考えられます。その中で、座位時の疼痛は椎間板性と筋性が関与します。

椎間板に由来した症状は、その障害レベルの神経支配領域への関連痛を生じます。
以下が椎間板性の症状の特徴です。

・姿勢の保持で悪化
・重だるい、肩こりのような痛み
・体を動かす、もしくは臥位になると症状が軽減する
・頭を支えると症状が軽減する
などです。

筋性に由来した症状の特徴は以下になります。

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・姿勢保持で悪化
・特定の筋の圧痛、収縮時痛、伸張時痛
・体を動かす、もしくは臥位になると症状が軽減する
・頭を支えると症状が軽減する

以上のように、椎間板、筋性の疼痛は特徴が似ています。その中で、筋性の症状では、ほとんどの場合、その筋の伸張痛、圧痛が認められます。そのため、動作や圧刺激を加えて症状の確認を行い鑑別します。

ちなみに、椎間関節性の疼痛は伸展・同側側屈・同側回旋で疼痛が増悪します。また、痛みの訴えも、鈍痛ではなく鋭痛のことが多いです。

肩に由来した疼痛

先程、肩に由来した疼痛は、肩を動かすと症状が悪化すると書きました。では座位保持で肩に由来した症状が悪化する原因を考えます。この原因には主に2つが考えられます。

一つ目は、炎症です。炎症は機械的なストレスではなく、化学的なストレスにより引き起こされるものです。炎症がある場合は、どのような姿勢でも疼痛が認められます。しかし、関節内圧の問題から、関節のポジションによっては症状が変化します。

例えば、肩関節では軽度外転・水平内転・回旋中間位を維持すると痛みが軽減することが多いです。その理由は、また別に書きます。

そして二つ目が、回旋筋腱板由来の疼痛です。正常な肩関節における上肢下垂時の肩甲骨は、関節窩がやや上方を向いており、骨頭が関節窩の上に乗り、形態的に安定している形になっています。

しかし、姿勢が崩れ、肩甲帯が前方突出する・下方回旋するなどの状態になると、この形態的な安定性が低下します。そして、周囲の筋による安定性が必要になります。

このときに働く筋が、回旋筋腱板筋であり、それにより過収縮が求められます。このストレスが持続的になると、肩周囲の鈍痛につながります。このような回旋筋腱板筋の疼痛は、「上肢を支えて、上肢の重さを除去する」と軽減します。例えば、「肘かけ」や「机」に手を置くなどの動作です。

以上のように、座っていて肩が痛いという症状も、原因はさまざまです。部位、症状の程度に関わらず、原因組織の鑑別は、丁寧に行っていく必要があります。