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前屈動作時の大腿部の症状を訴える人は多いです。その中でも、前屈時の大腿後面のツッパリ感の訴えは特に多いです。単純に考えると、ハムストリングスの伸張痛と考えがちな症状です。しかし、このような訴えの時は、まず坐骨神経の症状を疑います。

今日は、前屈動作時痛について説明します。

急にハムストリングスの伸張痛が起こることは少ない

前屈時に、ハムストリングスの伸張性が低いと、大腿後面が突っ張るのは一般の方でも知っています。なので、体が硬い人の前屈時の突っ張りは、その人にとって「当たり前の現象」になっています。

つまり、このような症状で病院に来られる方は、ある時から急に症状が気になるようになった方がほとんどです。

反射的にスパズムが生じると、前屈時の大腿後面の身長痛が急に出現する可能性はあります。しかし、反射性のスパズムではない筋の伸張性低下は、このように急に生じることはありません。そのため、前屈時の大腿後面痛を訴えられる患者さんの原因は、ハムストリングスの短縮ではないことがほとんどだと考えます。

大腿後面に伸張痛が起こる原因

では大腿後面に伸張痛を生じさせる原因について考えます。

まずは先ほど述べた、ハムストリングの「反射性スパズム」です。反射性スパズムは、急に生じることがあります。簡単に言うと、脊柱の動きが悪くなると反射性スパズムが生じます。そして、脊柱の動きは寝不足、食べ過ぎ、疲労などの自律神経系の乱れから生じます。

つまり、前日の寝不足や食べ過ぎなどから急にツッパリ感が出現する可能性があります

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次に考えられるのが「坐骨神経」です。坐骨神経による大腿後面痛の訴えは臨床上、とても多いです。これは、「ヘルニア」や「梨状筋症候群」により坐骨神経が圧迫される、もしくは単純に坐骨神経の伸張性低下がある場合に起こります。

坐骨神経とハムストリングスの鑑別は簡単です。坐骨神経の解剖を考えます。神経系は硬膜により、頭蓋骨から脊柱、足先までつながっています。また、坐骨神経は股関節、膝関節、足関節の後面を通っています。つまり、坐骨神経は足関節や頚部の動きにも影響を受けるということです。

一方、ハムストリングは股関節、膝関節の動きにしか影響を受けません。この違いを用いて鑑別します。

背臥位でのSLRでも、立位での前屈でも良いです。まずは症状がでる肢位にします。そこから、症状がなくなるまで膝を曲げてもらいます(坐骨神経とハムストリングスを弛緩する方向に動かす)。次に頚部の屈曲、もしくは足関節の背屈を強制的に行い、症状の変化を見る。

この時、訴えと同じ症状が出現した場合は、坐骨神経に由来した症状の可能性が高いです。なぜならば、ハムストリングスは頚部、足関節を動かしても影響を受けることはないからです。これらの部位を動かして、影響が出るのは坐骨神経です。このようにして鑑別します。

ちなみに、この鑑別を行うことにより、治療による症状の悪化も防ぐことができます。多くの人はハムストリングスの伸張性が低い場合、ストレッチを行います。しかも、ストレッチはゆっくり伸ばし続けます。もしこの症状が坐骨神経の症状だった場合、このようなことを行うと症状が悪化します。

これは「神経組織は2秒以上持続的な伸長を加えると虚血状態になり始める」ためです。そのため、もし神経系の伸張性を改善させたい場合でも、一般的なストレッチのように持続的伸張を加えてはいけないということです。