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肩関節疾患の患者さんにおいて、骨頭の前方変位が問題点として挙がることは多いと思います。このようなアライメントは疼痛を有しない肩にもよくみられます。ではこの骨頭の変位はなぜ起こり、どのような意味をもつでしょうか。

そこで今回は、上腕骨頭の前方変位について述べます。

前方変位することによって体が得すること

ある現象が起こるということは、何らかの意味があって起こっているケースと、何かしらの結果で起こってしまっているケースの2つの場合があります。前者の場合、骨頭の変位が起こることによって身体に好都合なことがあるはずです。ではそのことについて考えていきます。

まず骨頭が前方に変位すると、骨頭の前方に位置する上腕二頭筋長頭腱の緊張を高めることによって、骨頭の位置が安定します。これは、骨頭が腱にもたれかかって、腱を伸張することで張力を高めることで得られます。

つまり、骨頭の位置が安定していないときに生じる現象です。

この変位が生じると関節適合性が低下します。関節適合性が低下すると、筋スパズムや筋出力低下が生じ、可動域制限が起こります。これらの症状は、それ以上の可動範囲を動かしたり、力が加わったりした場合に関節機能を維持できない、つまり関節が壊れてしまうため、それを防ぐ防衛反応の結果起こっている可能性があります。

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また、疼痛回避のために前方変位が起こっている可能性も考えられます。棘下筋や小円筋、後方関節包など骨頭の後方にある組織に損傷があり、伸張ストレスが加わると疼痛が誘発する場合に、その伸張ストレスを避けて変位するということです。

数例ですが、骨頭の前方変位が起こることによって、身体には以上のような好都合があることが考えられます。

何らの原因があり、その結果起こっている場合

そしてもう一つは、何かしらの原因の結果、前方変位が起こっている場合です。

このケースでは多くの場合、棘下筋、小円筋、後方関節包などの後方組織の過緊張によって起こります。後方組織の緊張が高まることによって、骨頭が前方に押し出されます。この場合は、後方組織が緊張している原因を突き止めて改善する必要があります。

また、大胸筋の過緊張によって骨頭が前方に引かれている場合もあります。この場合も同様に、大胸筋が緊張する原因を突き止める必要があります。

以上のように、現象には意味が合って起こっているものと、何らかの結果起こってしまっている場合があります。前者ではその意味を考えて治療を行わないと、身体を壊すきっかけになりかねません。後者ではその原因を治療することによって、変位を改善できます。

理学療法士として「変位が起こっているから戻す」と考えるのではなく、まずは「何で変位が起こっているのか」「この変位は身体にとってどのような意味があるのか」を考えることが大切です。