体質という言葉は一般人でもよく使います。「太りやすい体質」「痩せやすい体質」という使い方は、その代表される使い方ではないでしょうか。
東洋医学では、体質を主に8つにわけて考えます。その体質によって、症状や治療のおこない方が変わります。
今回は、東洋医学的視点から体質について解説します。
脾虚
脾虚は字の通り、脾の機能が低下した状態です。脾は役割として、消化機能と気・血・津液を生成する役割をもっているため、これらの機能が低下します。
気・血・津液は食物から作られるため、その消化に問題があると生成されません。これが、脾と気・血・津液の関係性です。
気・血・津液はわかりやすくいうと、体の全ての代謝の基礎になります。そのため脾虚の状態では、全体的に生気が低く、疲れやすい、風邪を引きやすいなどの傾向が見られます。
この体質の改善には、食べすぎや冷たい物を避けるなど、脾への負担を減らすことが大切です。
腎陽虚
腎陽とは、腎に蓄えられている熱源のことであり、腎陽虚とはこの腎陽が不足した状態です。腎陽は熱をもっており、津液のもととなる腎陰を温めて巡らせる効果があります。
そのため腎陽虚では、体液と似た役割をした津液の巡りが悪くなるため、冷え症や体がぽちゃぽちゃしているなどの特徴があります。
また、体を冷やすことは症状の悪化につながります。
血虚
その字の通り、血が不足した状態を指します。血虚は女性に多く、末梢に栄養がいかない状態となるため、末梢の組織は栄養不足となり機能低下を起こします。
特に、筋肉の疲れや引きつり、手足のしびれ、冷えなどを起こしやすいです。
この体質改善には、食事をしっかり食べることと十分な睡眠をとることで、血を補う必要があります。
陰虚
陰は津液のことを表します。そのため、陰虚とは津液不足の状態を指します。津液が不足すると相対的に熱が強くなるため、皮膚や髪の乾燥が起こります。
この体質改善には、休息と睡眠が必要です。
気滞
これも字の如く、気が滞っている状態です。気は生命エネルギーです。そのため気滞では、元気なのに疲れやすい、顔は火照るのに手足は冷たいということが起こります。
気の全体量には変化はなく、ある局所に気が集まり、その他の部分の気が少なくなります。そして、気滞はその気が過剰に集まったところに、圧痛があるという特徴があります。
気滞は多くの場合、考え事や心配事などの精神的ストレスが原因になります。そのため、まずはリラックスことが大切です。
湿熱
湿熱は余分な津液と熱がこもった状態です。津液と熱が結びつくと、血液などがドロドロした状態になります。
その特徴として、暑がりで汗かき、体格ががっちりしているなどが挙げられます。また、かゆみや吹き出物もその特徴そして挙げられます。
この体質改善には、湿熱のもととなる甘いものや辛いもの、脂っこいものを控えることが大切です。
血お
血のめぐりが滞っている状態で、気滞と同じようなことが血で起こっている状態です。
血のめぐりが悪いため、顔色が悪く、皮膚の表面が浅黒く、つやがありません。その他にも冷え、肩こり、頭痛、月経痛なども引き起こします。
この状態でも圧痛が見られます。その圧痛は気滞と比較して、痛みが強いです。気滞は圧痛部位の施術は気持ちよく感じるものですが、血おの場合は、気持ちよいという感じより痛いという感覚が強くなります。
基本的には、気滞が悪化した状態と考えても問題ありません。
この体質改善には、気の滞りの原因となるストレスを解消する必要があります。
湿痰
湿淡は津液が過剰な状態であり、水ぶとりのようなイメージです。湿は津液が溜まると生じます。さらに、湿が固まり、動きが悪くなると「痰」とよばれる状態になります。
この湿と痰が体内に溜まっている状態を、湿淡といいます。
この特徴としては、寒がりで暑がりなど気温に左右されやすいというものがあります。また、色白で疲れやすいという特徴もあります。
この体質改善には、過剰な水分摂取を見直し、適度な運動を行うことが大切です。
以上のように、東洋学では8つの体質に分類されます。これらの特徴を知っておくと、経絡やつぼなどを知らなくても、明日からの患者さんの生活指導に使えます。
患者さんの特徴はどの体質のものかを考え、ちょっとしたアドバイスに役立ててみてください。患者さんの体質改善が治療効果を上げる鍵になります。